この記事では、バスケットボールのプロリーグ「Bリーグ」誕生までの歴史を解説します。
- Bリーグが誕生するまでの「プロリーグ構想」の流れ
- 従来の日本バスケットボールトップリーグにおける問題点
- Bリーグ誕生の背景
当記事では、Bリーグ誕生前のプロリーグ構想まで遡って解説します。
Bリーグ誕生の歴史は少々複雑ですが、バスケットボールに詳しくない方でも分かるように簡単に解説しますので、参考になれば幸いです。
Bリーグ誕生の流れ
まずはBリーグ誕生の流れをざっくりと解説します。
誕生までの流れは以下の図をご覧ください。
BリーグはNBLとbjリーグの2つのリーグが統合されて2016年に誕生しています。
Bリーグの歴史を語る上で、この「2つのリーグの統合」と「バスケットボールのプロ化」は重要なキーワードです。
以下では、バスケットボールのプロリーグ構想の流れから順を追って解説します。
Bリーグの歴史ープロリーグ構想ー
バスケットボールのトップリーグは1967年以降、バスケットボール日本リーグとして長らく運営されていました。
選手はプロバスケットボール選手としてではなく、親会社の社員として給料を貰うことが一般的でした。
このバスケットボールにプロリーグを創設しようとする動きが「プロリーグ構想」です。
1990年代からその動きは活発化しますが、2016年にBリーグが誕生したことではじめて、統一プロリーグが実現されました。
以下では、プロリーグ構想を中心にBリーグ誕生前夜までの歴史を解説します。
プロリーグ創設機運の高まり
1990年代、日本国内ではバスケットボールの人気が徐々に高まっていました。
- バルセロナ五輪をきっかけに始まったNBAブーム
- バスケ漫画「スラムダンク」の大ヒット
また、サッカーのプロリーグ「Jリーグ」の開幕(1993年)の流れもあり、バスケットボールプロリーグの創設の機運が高まったのです。
プロリーグを実現するとなると、バスケットボールそのもので採算を取る必要があります。
チームはチケットやグッズの売上で収益を上げ、選手の給料を支払い必要もあるのです。
プロリーグに向けた進展
採算の問題もあり、企業の支援は薄い中ではありますが、プロリーグ化は徐々に進展していきます。
1990年代のプロリーグ構想開始以降の主なトピックスは以下の表をご覧ください。
1997年 | プロ契約が解禁 ⇒外山英明(大和証券)と長谷川誠(ゼクセル)が初のプロ契約選手に |
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2000年 | 日本初のプロチーム新潟アルビレックスが誕生 |
2001年 | JBLスーパーリーグにリニューアル ⇒ホームタウン制を導入する等、プロ化を意識した体制作り |
時間はかかりつつも、プロリーグに向けて少しずつ進展しているように思われました。
しかしながら、企業の支援が不十分な状況ではプロリーグ化は難航します。
結局のところ、JBLスーパーリーグはアマチュアによる運営が継続されました。
トップリーグの分裂(bjリーグの独立)
JBLのプロリーグ化が思うように進展しない状況を受け、2004年には新たな動きが生まれます。
既にプロチームとして運営していた新潟アルビレックスを中心に、独自のプロリーグ「bjリーグ」を設立したのです。
JBLとbJリーグを簡単に比較してみましょう。
JBL (後のNBL) |
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bjリーグ |
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JBLがbjリーグに歩み寄れば、プロリーグ化は大きく進展しますが、そうはいきません。
当時の実態は、環境・待遇ともに実業団のJBLの方が上でした。
この状況では有望な選手はJBLに流れます。
振興のbjリーグよりもJBLの方が立場は上であり、JBLはbjリーグに歩み寄るどころか排除する方向に動きます。
- bjリーグ選手の日本代表への選出を禁止
- bjリーグへの審判派遣禁止
FIBAによるリーグ統一勧告(NBLの誕生)
FIBA(国際バスケットボール連盟)は日本のトップリーグが分断された状況を問題視します。
「1国1リーグが望ましい」とのFIBAからの勧告を受け、2008年頃から本格的に統一に向けた検討が進められます。
この検討の結果、2013年に誕生するのがNBLです。
NBLは完全プロリーグは断念しており、プロアマ混合リーグの体制でした。
bjリーグからNBLへ移籍したのは千葉ジェッツ1チームのみであり、引き続き分裂は続きます。
実業団の事情 |
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プロチームの事情 |
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それぞれの事情から、リーグ統一に歩み寄れない状況が続くのです。
Bリーグの歴史ー短期間での誕生ー
1990年代から検討が始まったものの、難航していたプロリーグ構想。
これをスピード解決に導いたのが、FIBAによる制裁と川淵三郎の強烈なカリスマ性です。
2016年、日本バスケットボールのトップリーグは、完全プロリーグであるBリーグとして統一が果たされるのです。
FIBAによる制裁措置
2014年11月、FIBAは非常に厳しい決断を下します。
一向に国内トップリーグを統合しない日本に対して、日本バスケットボールの国際試合への出場を禁止したのです。
男子だけでなく女子も含めてという厳しい措置は、大きな衝撃を与えました。
このような状況下で、トップリーグ統一を果たすために声がかかったのが、川淵三郎氏です。
川淵三郎氏の「新リーグ構想」
川淵三郎氏といえば、Jリーグの創設に大きく貢献したJリーグ初代チェアマンとして有名です。
NBLとbjリーグを統一し、Bリーグ誕生に導いたのもまた、川淵三郎氏なのです。
ここでポイントとなるのが、Bリーグは正確には2つのリーグを統合したのではなく、全く新しい新規創設リーグであるという点です。
Bリーグに参加するチームは基本的にNBL、BJリーグの所属チームです。
各チームがBリーグに参加するためには、以下のような条件が課されていました。
- 既存のリーグに退会届を提出する
- Bリーグに入会申請を行う
- Bリーグ参加基準を満たした場合のみ、参加が認められる
実業団中心のNBL、プロリーグであるbjリーグは全く異なるルール、文化を持っています。
その過去の思考をリセットするため、一度既存のリーグには退会届を提出させたわけです。
また、本拠地収容人数や年間売上等の基準を設けるなど、プロリーグとしての土台も作り上げました。
レギュレーションの統一やプロリーグ反対企業の説得など、数多の課題をクリアし、2016年に無事Bリーグは開幕しました。
Bリーグの歴史 まとめ
最後に、Bリーグの歴史を簡単におさらいしましょう。
- 1990年代以降、プロリーグ構想は難航
⇒実業団中心のJBLとプロリーグのbjリーグの対立も - Bリーグ誕生(トップリーグ統一)のきっかけはFIBAの制裁
⇒川淵三郎氏の手腕による功績も大きい
バスケットボールの人気は高まっているとはいえ、Bリーグ中継はテレビではほぼ見られないのが現状です。
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